性格の不一致とは|性格の不一致で離婚する際の手順まとめ

性格の不一致(せいかくのふいっち)とは、女性の半数以上、男性の約6割以上が挙げる最も多い離婚理由で、「性格が合わない」「一緒にいるのが苦痛」などその内容は多岐に渡りますが、裁判離婚を行う際など、法律上の離婚理由としては認められない理由でもあります。

最も多い離婚理由とはお伝えしたものの、そもそも100%同じ価値観を持ち合わせている人間などは存在しないので、ただのいい離婚の言い訳として使われているのが実態と言っていいでしょう。

結婚した当初は相手の欠点や癖も一つの個性として、楽しい結婚生活が成り立っていたはずなのに、いつの日か相手の事を不愉快に思うようになり、夫婦間に深い溝を作っていってしまうのはよくある話です。

夫婦生活が長くなれば、一度ズレた溝は大きくなり、いつしか嫌悪感へと変化していきますが、こう言った性格の不一致に遭遇した場合の離婚の手順などを、今回は解説していきます。

 

 

性格の不一致は最も多い離婚原因

『婚姻関係事件数』という裁判所が発表している司法統計というデータによれば、平成27年次の離婚件数は22.5万件あり、そのうち、夫側及び妻側の両方で「性格の不一致」が離婚理由の1位を取っています。

女性 件数 男性 件数
1位 性格の不一致 21,446 1位 性格の不一致 11,277
2位 暴力を振るう 14,167 2位 異性関係 3,193
3位 生活費を渡さない 12,460 3位 精神的に虐待する 2,797
4位 精神的に虐待する 11,381 4位 家族・親族と折り合いが悪い 2,744
5位 異性関係 10,789 5位 性的不調和 2,288

参考:離婚の原因|ランキングトップ10から見た離婚の悲しい原因

性格に差があり、完全に一致することなどないことは、結婚する前に分かると思われるかもしれませんが、そう考えているのは未婚の人だけのようで、実際に結婚してみてから初めて分かる性格もあるということでしょう。

性格の不一致は法律上認められない離婚理由

まず覚えておいてほしいのは、離婚の正式な原因としては法律上認められていません。例えば、片方が性格の不一致を理由に離婚を申し立てても、一方が離婚に応じない場合は離婚手続きを進めることはできません。こんな時の協議離婚か協議か調停離婚で結論を出す事になるのですが、それは後々解説していきます。

性格の不一致は夫婦間で意味が異なる

性格の不一致とひとことで言っても、性生活なのか、金銭感覚の不一致なのか、育児に対する考え方や将来設計に対する考えの不一致など違いはいろいろあるでしょう。性格の不一致という言葉には多くの意味が含まれているという事ですね。

 

性格の不一致による生活への影響の例

性格の不一致をかかえたまま生活する事でどのような影響がでてくるのか、簡単に見てきましょう。

少しのズレが大きな溝に発展する

もし性格の不一致に耐えられないから離婚したいという人を見たら、もしかしたら我慢が足りないと言うかもしれません。しかし、性格の不一致は意外にも辛く深刻な問題でもあります。

結婚生活では多かれ少なかれ「我慢すべき」部分があります。お金がない、パートナーの浮気や借金などであれば明らかに問題がある状態だと言えますが、性格の不一致は決定打がないので、何年も少しずつ苦しい状態や我慢をし続けていき、ある日我慢の限界を超えて来るという事です。

離婚を決意するまで何年もかかる

結局、これはおかしいんじゃないかと気づいても、そこから離婚の覚悟が固まるのは何年も経ってからになります。その間にも性格の不一致による夫婦の亀裂は深刻さを増し、人によっては生きているのも嫌になるようです。

そして、何年も不幸な日々を我慢し、40歳や50歳前後になって、初めて自覚する事も多くなっています。男性ならある程度のやり直しができますが、今の時代ではどうしても女性の再スタートは難しいでしょう。

結婚当初から細かい喧嘩が絶えない

性格の不一致で悩まれている方に「どうして結婚したのか」と聞くと、年齢的に考えてこの人と結婚するのが仕方ないと思ったという意見が多くあります。あまり好きではなかったけど、結婚したいという願望には勝てず仕方なくというケースです。

もちろん、夫のことが好きで結婚した方もいますが、煮え切らない、仕方がない結婚をされた方が実に目立ちます。

理由はないけどとにかく離婚したい

離婚したいと考えている人にとって、「性格の不一致」ほど便利な言葉はありません。前述したように性格が違うのは当たり前のことで、一つや二つ意見や趣味が合わないことも当然です。

結局は程度の問題になりますが、脱いだ靴下をそのままにされる、視聴中のテレビのチャンネルを変えられることが死ぬほど嫌いな方もいるかもしれませんので、これは一緒に生活してみないと、確かにわからないことでしょう。

 

性格の不一致で離婚する前に考える5つのこと

では、性格の不一致の概要を把握したところで、具体的に離婚を考えた際、考えておくべき事がありますので、その内容を5つご紹介していきます。

どの程度の不一致であれば離婚理由になりえるのか?

離婚問題に詳しい弁護士が判断する「性格が合わない」という理由で離婚を認める基準は、婚姻関係がすでに破綻しており、修復の可能性が皆無という状態です。

例えば、「嫉妬深く執拗かつ頻繁に配偶者のプライバシーを侵害している場合」や「被害妄想に陥り浮気を決めつけてやたらと責め立てる」といったケースなどが該当します。あくまで一例ですが、モラハラの要素に似ていると言って良いかもしれません。
参考:モラハラをする相手と離婚するために知るべき5つの知識

噛み合っていないのが良い場合もある

性格が真逆という状態は、実は最高の夫婦になれる可能性もあります。自分の持っていないものや魅力、視点を相手が持っているという事は潜在的な理想を抱きやすい状態だからです。若いうちは分からなくても、結婚してすぐの場合であれば、もう少し一緒に居てみてから考えても良いのではないでしょうか。

離婚する前に別居するのもあり

性格が合わなければ、ある程度は自分か相手が変われば良いという事という事もできますが、考え方を変えるのは結構難しいことですので、手っ取り早く簡単な方法は環境を変える、別居をしてみることです。

スポーツを始めたり、旅行に行くのも良いのですが、一時的な変化で家に帰ればまた同じ生活になってしまいます。離婚にはお互いの同意が必要ですので、すぐに離婚することはありませんのから、一旦距離をおいて考えてみる事も悪いことではないと思います。

共通の趣味を見つけてみる

人生は長く何も無いと刺激が無なり、人間腐っていくものです。この人といてもつまらない、私は幸せじゃないと思っている人は趣味や新しい事を始めてみるのが良いでしょう。一緒にそこで何かを乗り越えたり、経験したりして思い出を共有することは確実に夫婦の絆がつよくなります。

子どもがいた場合

今すぐにでも離婚をしたいと思っていても、子供がいた場合はどうでしょう。まだ小さなお子さんがいた場合、あなたの都合で離婚するのはあまりにもかわいそうです。何がかわいそうなのか、ひとによって考え方の分かれるところですが、引っ越し天候などが発生した場合など、子供の環境が変わることは最大限考えなくてはいけません。

 

性格の不一致で離婚を進める場合の手順

次に、性格の不一致で離婚を進めるにあたって、知っておくべき手続きなどをご紹介していきます。すでにご紹介したように、裁判では離婚は出来ませんので、協議離婚か離婚調停で離婚することになりますので、この2つの方法を簡単にご紹介していきます。

協議離婚

協議離婚は夫婦間の話し合いで離婚をする方法ですので、お互いの合意さえあれば離婚届を出して離婚は完了です。もし相手が離婚に反対していたり、なかなか応じないという場合もあるでしょうから、そういった時のポイントとしては下記の2点があります。

離婚したい意思を強く伝える

相手が離婚に対して積極的でない場合、離婚調停をしても費用と時間が無駄になる可能性もありますので、まずは「絶対に離婚したい」という旨を相手に強く印象付ける必要があります。いくら離婚を拒否しても復縁する可能性が皆無である事を伝えましょう。

相手の落ち度を証明する

夫婦関係の破綻には必ず理由があります。性格の不一致が主な原因だとしても、他に何かしらの理由があればそれを追求していきましょう。浮気、DV、モラハラなどがあれば離婚しやすくなります。

情に訴える

情に訴えるという方法もあります。人間、どんなに悪いやつでも必ずどこかに優しさがあります。つまり、「人は論理では動かない」のです。もしも、離婚話については話し合う機会があれば、相手の感情を刺激するようないい方を考えて下さい。どんな言葉が相手の心に響くかは未知数ですが、相手の感情に訴えかける意識を持つと良いでしょう。

余計な事を言わず要件だけに絞る

離婚協議は信頼関係がすでに失われた相手との話し合いですので、スムーズに進む事はありません。ですので、協議離婚の話し合いをさっさと終わらすには、「どちらのせいで別れるのか」の議論は不要です。

離婚すると決まった以上、離婚条件だけを集中して話し合い。養育費のことなら養育費だけに集中し、それ以外余計なことはお互い話さないようにするのが離婚協議を早く終わらせるコツです。

弁護士に相談する

協議離婚でも財産分与や養育費といったお金の問題、子どもの親権や監護権など、離婚にあたって解決しておくべき事項は多岐にわたります。協議離婚の段階でも弁護士に依頼することで、このような煩雑な手続や交渉をスムーズに進められるというメリットがあります。
参考:協議離婚が得意な弁護士に相談するメリットと弁護士の探し方

離婚調停

妻や夫が性格の不一致と感じていても、一方が性格の不一致を認めない場合も同様に離婚は不成立に終わります。この場合、第三者の介入を得る「離婚調停」という手段を取ることができます。勘違いをしている方も多いのですが、離婚調停は強制力がありませんので、夫婦の合意がなければ離婚は成立しません。従って、離婚調停で離婚するには入念な準備が必要になっていきます。

離婚調停は弁護士に依頼すると有利に進む

離婚調停を弁護士に頼むことで調停を有利に進める手続きをすることができますし、離婚調停の最中で取り返しのつかない失敗を防ぐことも可能です。

ただ、弁護士に依頼すると相談料や着手金だけでなく、調停が解決した際にかかる報酬金などが発生しますし、日当の金額も確認しておく必要がありますので、「離婚調停を弁護士に依頼するメリットと費用|有利に進める全知識」を参考に、離婚調停の準備を検討していただくのが良いかと思います。

 

性格の不一致で離婚する際の慰謝料

「性格の不一致で慰謝料請求をしたい」という方もいるかと思いますが、過去の判例で「性格の不一致」を理由に慰謝料の支払いを認めたケースはありません。慰謝料とは平たく言うと精神的・肉体的苦痛に対する損害賠償金のことですので、「性格の不一致」で精神的苦痛を受けていれば、「請求自体」は可能です。

しかし、離婚協議や離婚調停の場で、相手が慰謝料を支払うことに合意すればいいですが、審判や裁判の場では難しいのが現状です。

性格の不一致による慰謝料の相場

協議離婚を担当した弁護士の解決事例の一例ですが、慰謝料が請求できたケースもありますので、その例をご紹介していきます。一概にいくらですとは言えませんが、慰謝料の算定方法を参考に、ケースモデルをご紹介します。離婚の慰謝料には2種類あり、離婚すること自体への慰謝料と、離婚原因を作ったことに対する慰謝料があります。婚姻年数や子供有無などによって金額は変動します。

モデルケース

  • 26歳(女性)、事務職:月収15万
  • 結婚生活3年目。離婚原因は性格の不一致。
  • 離婚申し立てはAさんからで夫は反対。
  • 夫は28歳・会社員で年収は360万円。
離婚原因慰謝料

120万円を基準として増減しますが、今回は60万円でした。

離婚自体慰謝料

【基本慰謝料(120万)+(360万×3%)×実質的婚姻年数(3)】 × 有責度(0.2)× 調整係数(0.9)=27.4万円

【合計=離婚原因慰謝料(60万)+離婚自体慰謝料(27.4万)= 87.4万円】

あくまで指標ではありますが、離婚の慰謝料を知る上で参考になればと思います。(参考:協議離婚で獲得できる慰謝料の相場と慰謝料を増額させる方法

互いに離婚に合意している場合

性格の不一致は、一般的に慰謝料は請求できないとされていますが、性格の不一致が理由で慰謝料が発生する事例としては、それが原因で婚姻関係が破綻するに至ったという重大な理由が認められた場合のみです。しかし、決定的な離婚原因のDVや不貞行為の場合より、慰謝料の金額はかなり低くなると考えられます。

扶養的財産分与で慰謝料をカバーする

性格の不一致の場合は、慰謝料が発生しないとはいっても、それでは納得が出来ないという人も多いでしょう。そこで、慰謝料の補填として考えられるのが、扶養的財産分与の請求です。

扶養的財産分与は、婚姻関係中に家計を支えていた者が、生活力のないものを扶養するという意味の一時金になります。これがあれば備えがなくても離婚後の生活を繋ぐ事はできるのではないでしょうか。

ただし、高額な金額が支払われた場合には、扶養的財産分与は適応されませんので、注意が必要です。

一方が離婚に合意しない場合

片方が慰謝料の請求に応じない場合は、「解決金」として金銭を支払うことで、離婚を進める事が可能です。この「解決金」は、慰謝料とみなすことができますので、離婚後の生活に不安を抱えている方は、離婚後も安心して生活できると考えられます。

慰謝料をできるだけ多くもらうには?

離婚調停や裁判で慰謝料の請求が難しい以上、協議離婚でなんとかする必要がありますが、慰謝料の増額ポイントとしては下記の5つになります。

  1. 慰謝料金額の基準を把握しておく
  2. 慰謝料と財産分与は別々に請求する
  3. 離婚前に必ず請求しておく
  4. 浮気や不貞行為の証拠は必ず揃えておく
  5. DVやモラハラの事実を証明する など

参考:協議離婚で獲得できる慰謝料の相場と慰謝料を増額させる方法

こういったポイントを押さえながら、進めていただければと思います。

 

まとめ

いかがでしたでしょうか。性格の不一致に関する内容をご紹介してきましたが、性格の合う合わないは結構深刻な問題ですので、今回の内容を参考に、スムーズな離婚をして頂ければと思います。

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ABOUTこの記事を監修した法律事務所

2016年1月に寺垣弁護士、佐藤弁護士の2名により設立。現在の在籍弁護士は14名(2018年1月時点)。遺産相続、交通事故、離婚などの民事事件や刑事事件、企業法務まで幅広い分野を取り扱っている。