熟年離婚の9つの原因と離婚を決意する理由|離婚向けて考えること

長年夫婦関係を築き上げてきた間柄でも何らかの原因や理由を機に離婚をする事はあります。特に結婚してから25年〜30年以上の夫婦による熟年離婚は、ひたすら増加傾向にあり、熟年離婚の件数は、ここ10年足らずで約2倍に増加しているというデータがあります。

また、熟年離婚を切り出すのはほとんどが妻からで、夫が定年で毎日家に居座るようになり、今まで自由な行動をしてきたのに、いきなり制限されるようになったなどがきっかけで、鬱積した不満やらなんやらが噴出した結果、熟年離婚を決意する方もいらっしゃるようです。

ちなみに、夫としては離婚を拒否しているケースが多く、ほとんどの場合で離婚調停に持ち込まれます。では、熟年離婚を考える理由にはどのようなものがあるでしょうか。

今回は、熟年離婚に至る原因や理由としてよくあるものを14個ご紹介していくとともに、熟年離婚を検討している際の参考になる内容をご紹介していきます。

 

熟年離婚は増加傾向にある|平成27年のデータ

下記の図は、厚生労働省の「平成27年人口動態統計月報年計(概数)の概況」で発表されている「同居期間別離婚件数の年次推移」の表ですが、注目して頂きたいのは同居期間が20年以上の部分です。

昭和最後の60年には20,434組の熟年離婚した夫婦がいましたが、平成17年には40,395組と約2倍に増加、平成26年には36,771組まで下がりましたが、翌年の平成27年には38,641組にまで一気に上昇する結果となっています。

熟年離婚の件数

参考:「厚生労働省|平成26年人口動向統計月報年計の概要

熟年離婚の離婚率

また、熟年離婚の離婚率にも注目したいところです。総離婚数を同居期間別の離婚件数で割った数字を離婚率として考えた場合、下記の表のようになります。

同居期間 昭和60年 平成7年 平成17 平成24 平成25 平成26 平成27
5年未満 34.0% 39.5% 36.5% 34.5% 34.2% 33.9% 33.8%
5〜10年未満 21.3% 21.2% 23.1% 22.0% 22.3% 22.4% 22.2%
10〜15年未満 19.5% 13.0% 14.1% 15.0% 15.0% 14.9% 14.6%
15〜20年未満 13.0% 9.9% 10.0% 11.1% 10.9% 11.1% 11.3%
20年以上 12.3% 16.4% 16.2% 17.5% 17.6% 17.8% 18.2%

全体の母数としては多くはないものの、唯一ダントツの離婚率の伸び率を獲得しているのが、結婚20年以上の熟年離婚だという事がわかりますね。

 

熟年離婚に至る9つの原因と理由

大半の熟年離婚の理由は一般的な離婚の理由と変わりませんが、熟年離婚ならではの原因や理由もあります。

価値観の違い

法律用語で言えば「性格の不一致」になります。結婚したとはいえもとは他人ですので、価値観が違うのは当たり前です。それを受け入れてきたからこそ、長い年月もの間連れ添ってこられたはずです。しかし、昔は離婚する事自体が世間から白い目で見られていた時代でしたので、そういった状況から実は結婚当初から価値観の違いに苦しんでいた、早く離婚したいと思っていたということが少なくありません。

子供の自立

熟年離婚の原因とは少し言い難いですが、熟年離婚の理由で多いものに子供が自立したというのもあります。「子供の自立後に離婚することを熟年離婚とする」考え方もあるほどです。

子供にまだ親が必要な年齢だと、多少夫婦間で険悪な関係になっても「子供はどうする・・・」と踏みとどまってきました。しかし、子供が自立してしまえばわざわざ我慢し続けることも無くなります。

夫婦間に会話がない

夫婦生活に必ずしも会話が必須という事はありませんが、結婚当初はお互いの出来事や考えていることをよく話していたのに、いつの間にか会話が減ってきていることを不満に思う人もいます。その結果、孤独に耐え切れなくなり熟年離婚に踏み切るのです。

相手の両親の介護がつらい

熟年にあたる40〜50代の夫婦には、少なからず両親の介護が必要になってくる年代でもあります。今の年代だと2世帯住宅も多く、両親の介護をするために家にいたりする事もあり、結果的に世話をすることが多くなるのは妻でしょう。

ご存知の方も多いと思いますが、介護は想像以上に辛いものです。実の両親ならまだしも、これが夫の両親だったら「なんで私があなたの両親の面倒見ないといけないのか」という思いが介護の疲れとともに溜まっていき、熟年離婚を決意させます。

夫が常に家にいるのが精神的なお荷物になる

夫が定年退職すると夫婦関係が悪い方向へ一変することがよくあります。家でゴロゴロし続ける夫に妻はストレスを感じてそれが耐えられなくなると熟年離婚に発展する可能性が高くなるのです。

女性の社会復帰も原因のひとつ

専業主婦から子育てがひと段落したタイミングで妻が外で働くケースも増えてきた最近では、自分でも稼げる専業主婦が増加しています。そのため、夫に依存する必要がなくなり離婚に踏み切ろうと考える女性が増えてきています。

自分勝手な妻が原因

熟年離婚にあたる世代には男尊女卑の考えが少なからず残っており、それに不満を感じた女性からの熟年離婚も原因のひとつです。大きな理由は、自由な妻に対する夫からの不満です。

熟年離婚にあたる世代は、役職に付いて会社での平均年収水準も上がり、高い給料をもらっているケースもあります。妻を養っていくうえでは問題ありませんが、子供も自立し夫の収入だけで十分贅沢な暮らしができます。

夫の稼いだお金で昼は優雅なランチ、ホットヨガへの参加、高級ブランド品の購入など、そんな妻からの愛情も感じることができず「何のために働いているのか・・・」そう思ってしまう男性もいるようです。

夫の浪費ぐせや借金ぐせが理由

パチスロや競馬・競輪などのギャンブルも問題です。借金をするほどのめり込んでしまえば家計を圧迫し、高確率で夫婦生活に支障をきたします。そういった浪費に耐えかねた妻から離婚を切り出すケースもあります。

不倫や浮気といった心移り

熟年離婚の場合に限った話ではありませんが、長年夫婦生活を続けていてもやはりそこは男と女ということでしょうか。不倫の経験が長く、長期間続けていたことは知っていたけど、子どものために離婚は我慢していたケースもあります。もし、相手が不倫をしてた場合、妻や夫は裏切られたことによる信頼関係がなくなるケースがあります。

最近は40代〜50代の夫婦間でも浮気や不倫の問題が勃発しているようなので、慰謝料の請求などを検討しているなら、早めに行動がおすすめです。

 

妻が熟年離婚をする理由とタイミング

熟年離婚の原因や理由を見てきましたが、妻や夫が離婚を決意するキッカケやタイミングにはどのようなものがあるのでしょうか。

夫の団塊世代が定年に差し掛かったから

熟年離婚の原因の一つに、日本経済を支えてきた世代が定年で退職するという時期もあります。団塊世代は「男は働き、女は家庭」という概念、いわゆる亭主関白というものが多かった時代です。

「今まで家庭のことを全部やってきたのに、感謝もされず、命令するばかり。定年退職をしたら毎日家で一緒」かと思ったら「一人で暮らしたほうが良い」と考える妻も多かった事でしょう。

夫の定年退職のタイミングを狙った計画的な離婚

いまでこそ共働きの夫婦は多いですが、熟年離婚を考える世代は「夫は仕事、妻は家事」という概念が強く残っています。退職後にやることが無くなったからといって、家事を手伝ってくれる夫は少なく、家でずっとごろごろしているだけです。「家でずっと一緒なら離婚したほうがマシ」と考える人も出てきます。

2007年の年金制度の改正で離婚時の年金分割を当てにしている

団塊世代の定年に加えて熟年離婚に拍車をかけたのが、2007年の年金制度改正です。それまで主婦がもらえる年金額は月66,000円の国民年金のみでしたが、「熟年離婚をしたら老後の生活で困る」という理由で離婚に至らなかった点も多くあるでしょう。年金分割制度で、老後の生活が一定程度保障されることになったのです。

しかし、年金制度改正によって専業主婦でも夫が積み立てた厚生年金を分割して受け取れるようになったため、熟年離婚をしても、年金分割をしっかりすれば専業主婦でも老後を暮らせるようになります。

熟年離婚(同居期間35年以上の夫婦)の離婚件数は、年金分割の前後で横ばいに推移しており、実際には「年金分割が始まったら三下り半を突きつけてやろう」と手ぐすね引いて待っていた妻は、メディアの思惑とは裏腹に、ほとんどいなかったようです。
参考:熟年離婚したほうが得!と夫を捨てる妻たちの事情

退職金を狙っている場合もある

妻はもっと早期に離婚するつもりだったものの、自分ひとりで生活していくことが難しいなどの理由から離婚に踏みきれず、夫の退職金でまとまったお金が得られるようになったタイミングで離婚を切り出す事もあります。夫にとっては寝耳に水で、非常に驚くケースがほとんどです。

世間の認知度の変化

「熟年離婚」という言葉が認知され始めたのは、2000年初頭と言われていますまた、2005年にはテレビドラマ「熟年離婚」で一気に認知度が上がりました。

それまでは「一緒にいるのが嫌」とは思っていても、なかなか周囲で話を聞かなかったため離婚には移りませんでしたが、熟年離婚という言葉が広まったことにより「この年で離婚している人もいる」と、離婚する方も多かったようです。

 

熟年離婚を切り出される夫婦の特徴

では、次に熟年離婚を切り出される夫婦の特徴を見ていきましょう。どのような夫婦が熟年離婚に至るかを知る事で、熟年離婚の原因が分かる事もあるでしょう。

夫の場合

まずは妻に熟年離婚を切り出される夫の特徴から見ていきましょう。

長期間にわたって妻をバカにしていた

こういった夫は、自分が働くことで家族養っている、妻は自分がいなければ生きていけないんだと思っている傾向が強くあります。妻からして見れば、定年で稼ぎがなくなり、離婚で資産も年金も半分にできる状態なら、自分をバカにする夫と一緒にいる理由は皆無です。

親の介護をやらせるつもりだった

熟年離婚で夫側からの相談で多いのは、「母親の介護を妻にやらせるつもりだったのに、離婚を切り出されて困っている。」というものだそうです。正直なところ、気持ちはわからなくもありませんが、熟年離婚を切り出されても仕方がない状況といえます。長年自分をバカにしてきた上に、自分の親の介護まで押しつける気かと、妻は思っているでしょう。

妻の場合

家事をしようとしない

専業主婦だった場合に多い理由ですが、家事をしない妻に対して夫も我慢の限界がきてしまうようです。たとえ専業主婦だったとしても、家事はきちんと行っていなければ夫はすぐに見放します。愛情があればと思う方もいるかもしれませんが、20年以上一緒にいる夫婦間に、愛を感じる瞬間があるのはごくわずかな家庭だけです。

ベネッセの次世代育成研究所の調査で、2006~2010年の間に夫婦288組を対象に行った調査によれば、第1子の妊娠中は「配偶者といると本当に愛していると実感する」割合が夫、妻とも74%でしたが。子どもを出産後、妻は46%に激減、夫も64%に減少しているという結果になりました。
参考:ベネッセ教育総合研究所|調査・研究データ

特に理由もないが離婚を切り出す夫は急増している

熟年離婚は2014年に3万6800件を数え、25年前の7割増となっていますが、今は妻のほうが夫に捨てられるというケースも増えているようです。

よくある熟年離婚のイメージとしては、定年を迎えた夫が妻に離婚され、セカンドライフを謳歌する元妻と、家事に疎い夫が汚れた部屋でインスタント食品を食すというものかもしれませんが、この構図に逆転現象が生まれつつあります。

「10年ほど前までは女性が離婚を求めるケースが8割でしたが、現在は男性から切り出すケースが4割に急増しています。夫たちが“この妻と20年近い老後人生を共に歩めるか”を考えて離婚を決断するようになっているのです」
参考:熟年離婚が25年で7割増 「夫が見捨てられる常識」に変化も

夫が妻と離婚する理由は、なにも別に好きな女性ができたからとは限らず、

  • 妻の“面倒くさい”の言葉を聞くのが飽きた
  • 会話も広がらないし長続きもしない
  • 家事は自分でできるし妻を憎む理由もないが、残りの人生を考えた時にこの生活が続くことに嫌気がさした
  • コンビニ食品も栄養面を意識したものが多い
  • 家事代行サービスも充実している
  • 妻が不在でも生活に困らない

こういった理由から、夫が妻に見切りをつけるケースも増えているようです。

 

熟年離婚が成立した後に考えておくべき事

最後に、熟年離婚が成立したとして、今後の生活がどのようなものにしていくかの参考になるよう、幾つか考えておくべきポイントを見ていきましょう。

離婚後の生活をどうするか

夫の場合

先ほど自分で家事のできる男性の増加や、コンビニの質向上で妻がいても困らないという夫は増えていると言いましたが、それでもまだまだそれは少数派の話です。

  • 食生活が乱れる
  • アルコール依存症に陥りやすくなる
  • 家事ができないストレスをためこむ
  • ストレスで早死にする可能性が高い

など、こういった変化が起きる可能性は高くなります。

妻の場合

妻の場合は、若い頃のように実家に帰るなどの手段が取れない可能性もありますし、専業主婦の場合は仕事に戻れる可能性も少ないでしょう。

  • 金銭面に不安が残る
  • その代わりに精神的な解放感を得る

こういった変化が訪れるかもしれませんが、女性の場合は離婚の影響は少なく、平均寿命にも大きな変化は無いと言われています。女性は男性よりも計画的な人生設計をすることに長けているので、突然離婚を切り出す事は無いでしょうから、今のうちに貯金などをしておくのが良いかもしれませんね。

離婚後の年金分割について

離婚時の年金分割制度は、配偶者の年金保険料の納付実績の一部を分割してもう一方の配偶者が受け取れるという制度です。離婚した際のお金の問題が後々の大きなトラブルになりますので、喧嘩別れのようなかたちで離婚をすると離婚調停や離婚裁判などで争う事態になる可能性も高いため、「離婚と年金分割|分割できる年金の種類と年金分割の全手順」を参考に、年金分割の進め方について知っておく事をおすすめします。

もし再婚した場合の年金分割について

もし妻が再婚した場合でも、変わらずに年金分割は継続して支払われる事になります。夫側としては「なぜ?」と思われる方も多いかもしれませんが、年金は結婚していた間に支払った保険料を、老後に受け取っているだけですので、一度年金分割を行えば死ぬまでずっと分割されたまま支払われるということになります。

また、元夫が生存していて妻が死亡した場合は、その妻の新しい夫や子供に年金が支払われていくことになります。
参考:再婚しても離婚時の年金分割に影響はない

 

もし熟年離婚を避けたい場合

熟年離婚は今日明日に決着ができるような簡単な話ではないでしょう。長い間二人で手をとりあって乗り越えてきたわけですから、その分徹底的な話をする事ができれば、離婚が回避することもできるはずです。

子供に間に入ってもらう

熟年離婚の危機を迎えている夫婦に多いのは、どちらも譲らぬ頑固な性格である場合が多いということです。長年にわたって積み重ねてきたプライドなどが邪魔をすることもあり、一向に話し合いが出来ないという場合は、子供の力を借りるといいでしょう。

顔が見たくなくても徹底的に話し合う

感情的にならず、ちゃんと冷静に話し合うことができれば、二人の気持ちがなぜすれ違っているのか時間をかけて話し合ってみることをおすすめします。熟年夫婦の不仲は、これまでの小さな積み重ねが積もっていることが原因のケースが多く、その蓄積された思いをこの際全部相手にぶちまけてしまって、すっきりとした気持ちでまた一からスタートしてみてはどうでしょうか。

夫婦関係調整調停の利用

弁護士などの第三者に入ってもらって、双方の意見の偏りをなくすという事も考えられます。その方法の一つに「夫婦関係調整調停(円満調停)」という制度があります。

夫婦関係調整調停とは
夫婦が円満な関係でなくなった場合には,円満な夫婦関係を回復するための話合いをする場として、家庭裁判所の調停手続を利用することができます。調停手続では、当事者双方から事情を聞き,夫婦関係が円満でなくなった原因はどこにあるのか、その原因を各当事者がどのように努力して正すようにすれば夫婦関係が改善していくか等,解決案を提示したり、解決のために必要な助言をする形で進められます。

なお,この調停手続は離婚した方がよいかどうか迷っている場合にも,利用することができます。
参考:裁判所|夫婦関係調整調停(円満)

裁判所は争いを解決するためだけにあるわけでは無いので、こういった公的な場を利用するのも良いですし、弁護士の無料相談を活用して、今後どのような方向に話し合いを進めていけば良いかを聞く事も有効です。

必ずしも離婚しない事が正しいとも限りませんので、一度検討してみてはいかがでしょうか?
▶︎離婚が得意な弁護士の無料相談を利用する

 

まとめ

いかがでしたでしょうか。熟年離婚の主な原因と理由について解説してきましたが、離婚するのもしないのもあなた次第です。ただひとつ言える事は、後悔の無い選択をして頂ければということです。

もしこれから熟年離婚を考えているのであれば話し合いをする事をおすすめしますし、すでにトラブルになりそう、あるいはなっているのであれば、離婚問題が得意な弁護士に相談する事で、解決の糸口が必ず見つかると思いますので、ご検討してみてはいかがでしょうか。

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ABOUTこの記事を監修した法律事務所

2016年1月に寺垣弁護士、佐藤弁護士の2名により設立。現在の在籍弁護士は14名(2018年1月時点)。遺産相続、交通事故、離婚などの民事事件や刑事事件、企業法務まで幅広い分野を取り扱っている。