悪意の遺棄で離婚する際の慰謝料相場と慰謝料を増額させる方法

悪意の遺棄で獲得できる慰謝料の相場は、50万円〜300万円と言われており、離婚の慰謝料同様にかなり高額な慰謝料額になります。

そもそも悪意の遺棄とは、婚姻関係にある夫婦間に定められた「同居の義務」「協力義務」「扶助の義務」に対して違反をした場合の、離婚原因となる理由のことで、代表的な例は「生活費を渡さない」「理由のない別居」「健康な夫が働こうとしない」などが挙げられます。(民法第752条)
参考:悪意の遺棄とは|悪意の遺棄に当てはまるケースと基礎知識

ここで言う悪意は「夫婦関係の破綻を目論んでいる」「夫婦関係が破綻しても構わない意思」とされていて、遺棄は「正当な理由もなく同居・協力・扶助の義務を怠ること」と覚えておくと良いかと思います。

もし、悪意の遺棄で離婚することになり、慰謝料を請求する場合は、具体的にはどのようにして請求していけば良いのか、どういった行動が悪意の遺棄に該当するのか不明確な部分も多いと思いますので、今回は「悪意の遺棄」で離婚する際の慰謝料についてご紹介していきます。

 

 

悪意の遺棄で獲得できる慰謝料の相場

悪意の遺棄で請求できる慰謝料の相場は、基本金額を100万円とし「同居事務違反に関する事情」「協力・扶助義務違反に関する事情」を考慮しながら増減を決定していきますが、大体の相場としては約50万円〜300万円と考えて良いと思います。

 

慰謝料が相場以上に増額する3つのケース

以下のような事情があると慰謝料が高額となる傾向があります。

別居期間が長い場合

どうして別居に至ったのかを把握する必要がありますが、婚姻関係にあるにも関わらず、特に理由もなく別居されている場合は「同居義務違反」となり、慰謝料請求の対象です。さらに、その期間が3年以上の長い期間になれば、慰謝料の金額は増額していきます。

妻が専業主婦で収入がないにも関わらず生活費を渡さない

悪意の遺棄の中ではもっとも多い離婚理由で、意外と深刻な問題です。女性の中には結婚したら仕事を辞める人もいますから、生活費を受け取れなかったら一体どうやって生活するのでしょうか。

身体的には健康なのに働かない

俗に言うニートですが、なんの理由もなく働かないのは離婚原因としては申し分ない理由ですし、こういった状態が長く続くようであれば慰謝料の相場も上がってきます。
参考:離婚の原因|ランキングトップ10から見た離婚の悲しい原因

 

悪意の遺棄を証明する明確な証拠がある場合

多少の違いはありますが、おおよそ以下の3つがあれば確実でしょう。

  • ・生活費の振り込みが途絶えたことがわかる通帳の記録
  • ・別居に至った経緯、別居がいつ始まったかという記録
  • ・別居先を特定できる資料、賃貸借契約書 など

もし、姑と折り合いが悪く実家に帰っている、生活費だけは送ってきても愛人宅に入り浸っている、家出を繰り返すなどは決定的な証拠が少ないので、そういった場合は、弁護士などにプロに相談されるのが良いと思います。

 

借金がある場合|慰謝料は減額・請求できない可能性がある

もしパートナーが借金をしており、その返済のせいで離婚する、生活的にも苦しい状況に追い込まれた場合は「悪意の遺棄」として離婚・慰謝料請求の対象になりますが、借金をするくらいですので、この場合は相手から受け取れる慰謝料の額は少ないか、もしくはもらえない場合も覚悟しておく必要があります。

 

悪意の遺棄で慰謝料を請求する場合の手順

次に、慰謝料を請求する場合の手順についても見ていきましょう。

まずは話し合い|内容証明郵便で請求

もしまだ同居している場合は、慰謝料を請求したい旨を直接伝えることもできますが、別居に至っている場合には、なかなか慰謝料について話をすることが難しいでしょうから、内容証明郵便を送付しましょう。

内容証明郵便とは、郵便局の行うサービスの一つで、法的には通常の書面と変わりませんが、郵便局が書面の内容を証明してくれることから、後々証拠として有効になります。
参考:協議離婚で獲得できる慰謝料の相場と慰謝料を増額させる方法

協議離婚がまとまらなければ離婚調停に

もし、話し合いでまとまらない場合は、離婚調停を申し立てるのが良いでしょう。申し立て場所は基本的に相手住所地の家庭裁判所で、夫婦関係調整申立書を提出することによって申し立てることができます。
参考:離婚調停の流れと離婚調停に有利な流れを作るためのポイント

離婚調停でもだめなら離婚裁判

離婚調停でも話がまとまらない場合は、離婚裁判を起こすことになります。離婚訴訟のなかで、離婚の問題と慰謝料についての問題の解決を目指します。
参考:離婚裁判の流れ|離婚裁判を進める際の流れと進め方の全手順

 

悪意の遺棄で離婚をする際の注意点

最後に、悪意の遺棄で離婚する場合の注意点をご紹介していきます。

悪意の遺棄となる行為とならない行為

悪意の遺棄になる行為

  • ・同居はしているのに生活費を渡さない
  • ・専業主婦が家事を全くしない、家事を放棄している
  • ・一方が全く家事に協力しない
  • ・仕事ができる状態なのに仕事をしようとしない
  • ・虐待・暴力等により追い出し、家に帰らせない
  • ・不倫相手の家に行ったまま帰ってこない
  • ・なんの理由もなく帰ってこない など

悪意の遺棄にならない行為

  • ・転勤などによる単身赴任で家に帰れない
  • ・配偶者の暴力や浮気に耐えられず家を出た
  • ・冷却期間を置くために夫婦が別居する
  • ・夫婦関係が破たんした後の別居
  • ・病気やケガで治療の理由で別居している
  • ・子供の教育の必要性から別居している

まとめ

いかがでしたでしょうか。悪意の遺棄は内容だけ見れば大したことのない内容に見えますが、実際に体験している方にとっては大きな問題かと思いますので、今回の内容を参考に、慰謝料の獲得を進めていただければ幸いです。

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ABOUTこの記事を監修した法律事務所

2016年1月に寺垣弁護士、佐藤弁護士の2名により設立。現在の在籍弁護士は14名(2018年1月時点)。遺産相続、交通事故、離婚などの民事事件や刑事事件、企業法務まで幅広い分野を取り扱っている。