離婚時の養育費の相場とできるだけ養育費を多く獲得する方法

離婚する際、もし夫婦の間に子供がいれ親権をどちらが持つかも重要な問題ですが、子供の養育費の支払いをきちんと受けることも大事なポイントになります。

2011年に厚生労働省が実施した「全国母子家庭等調査結果報告」によると、母子家庭における元夫からの養育費の支払いを受けているのは、全体の19.7%、総母子家庭世帯123万世帯のうち、80.3%もの家庭が養育費の支払いを受けていないというのが、今の日本の養育費事情です。

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養育費の受給状況
【全国母子家庭等調査結果報告】
・現在も受けている:19.7%
・過去に受けたことがある:15.8%
・受けたことがない:60.7%
・不詳:3.8%

養育費の不払いを避けることも重要ですが、そもそも養育費の相場がいくらになるのかということを把握しておくことが、養育費の請求の第一歩になりますので、今回は離婚時の養育費の相場についてご紹介していきます。

 

離婚時における子供の人数別の養育費の相場

養育費は、離婚時に子供がいれば、扶養義務が生じる限りは養育費の支払い義務がある方に請求することが可能ですが、相場は両親の年収を元に算出されるため、一律に相場が決まっているわけではありません。

ですので、離婚時の夫婦の話し合いで自由に決めることもできます。とはいえ、家庭裁判所などでは一応の相場が定まっており、「養育費算定表」という表によれば、その金額は毎月2~6万円が相場となっています。

下記では、最も簡単に相場を出せる養育費算定表を見ながら、30代後半男性の一般的な平均年収(450万円)、妻の年収100万円をベースに考えていきます。

子供が1人の場合の養育費の相場

子供が1人の場合でも、その年齢によって多少の変化がありますので、まずはそのあたりの相場からご紹介していきます。

子供の年齢が0歳〜14歳の場合

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【子供の年齢が0歳〜14歳の場合:4万円から6万円】

横軸を養育費の請求者(妻)の年収、縦軸を養育費の支払い義務者(夫)の年収とし、二つの交差する部分を確認すると、養育費の相場は4万円から6万円になります。

子供の年齢が15歳〜19歳の場合

2

【子供の年齢が15歳〜19歳の場合:4万円から6万円】

年齢によって多少養育費の範囲に違いはありますが、この場合も4万円から6万が相場になります。

子供が2人の場合の養育費の相場

子供が2人の場合の養育費も、基本は1人の場合と同じで、養育費算定表に当てはめて行く形になります。

第1子:15歳から19歳|第2子:0歳から14歳の場合

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【第1子:15歳から19歳|第2子:0歳から14歳:6万円から8万円】

第1子と第2子:0歳から14歳の場合

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【第1子・第2子:0歳から14歳:6万円から8万円】

第1子と第2子:15歳から19歳の場合

5

【第1子・第2子:15歳から19歳:6万円から8万円】

子供が3人の場合の養育費の相場

  1. 第1子・第2子・第3子15〜19歳:8万円から10万円
  2. 第1子・第2子15〜19歳、第3子0〜14歳:8万円から10万円
  3. 第1子・第2子・第3子0〜14歳:6万円から8万円
  4. 第1子15〜19歳、第2子・第3子0〜14歳:6万円から8万円

養育費を権利者と義務者別の年収で相場を出した場合

養育費は年収だけでも、子供の数だけでも算出するのは難しいため、年収だけで切り分けるのは正確な算出方法とは言えませんが、だいたいの相場を把握する程度なら問題ありませんので、簡単に紹介していきます。

年収が300万円前後だった場合

近年、年収が300万円台の男性が増加していますが、年収300万円台だと2歳の手取りは240万円程度ですから、月で計算すると20万円程度の手取り額です。

月20万円前後だと家賃の支払いや生活費などの自分の生活で手いっぱいになる確率も高く、養育費の増額は期待出来ない可能性が高いでしょう。養育費算定表では1万円から4万円の間が相場になりますが、少しでも養育費が欲しいと思うなら、無理のない範囲を提示して、できるだけ長期間もらうことを考えるのが良いかと思います。

年収が400万円前後だった場合

年収400万円の場合は、実際の手取りの額面としては約320万円前後となりますので、月収は26万円前後です。月の生活費で20万円以上の出費をすることはあまり考えにくので、養育費の相場も4万円から6万円になるので、交渉次第では養育費の増額も見込めそうです。

年収が500万円前後だった場合

相手の年収が500万円だった場合、実際の手取り額は400万円前後、月収ベースで考えると33万円前後ですから、男性の一人暮らしでよほど贅沢をしなければ十分に手元にお金が残ります。ひとつきの生活費が15万円前後としてもまだ半分の余裕がありますので、養育費算定表の8万円~10万円の養育費というのも納得できる金額です。

 

養育費の計算方法|養育費が相場以上に増額できる要素

次に獲得できる養育費をできるだけ高額請求するための方法や手順をご紹介していきます。

収入の高さ|夫の収入を把握しておく

義務者の収入によって養育費は高額になっていきますので、相手が過少申告してきても適正な養育費を獲得できるよう、きちんと相手の収入を把握しておくことが大事です。

子供にかかる教育資金の資産を出して置おく

子供にはこういった教育を受けさせたい、私立学校に通わせたいなど、子どもの将来の選択肢を狭めないためにも、現時点の範囲での学習計画を立てておくことが重要になります。こどもにはこれだけのお金がかかるということを事前に伝えて置くことで、養育費増額の可能性は高まります。

協議離婚の場合は相場以上の請求をできる可能性が高い

養育費算定表はあくまで裁判所での基準を明記したものであって、必ずしも守らなくてはいけないものではありません。そのため、協議離婚などの話し合いに場で、養育費を15万円欲しいと言い、相手がそれに了承すればその金額をもらうこともできます。

ただ、養育費としての使い道に明らかな不正(自分の娯楽に使っているなど)や、もらっているのに使っていないなどの事情があれば、減額の対象になる可能性はありますので、もらいすぎには注意しましょう。

養育費として請求できるものを把握しておく

養育費はあくまで子供を育てる為にかかる費用なので、親権者の生活費は含まれません。

  • 衣食住にかかる費用
  • 保育園や小学校などの教育機関に通う為の交通費
  • 健康を維持する為の医療費
  • 幼稚園・保育園〜高校・大学までの教育費
  • 習熟・習い事の費用
  • 適度な娯楽費
  • 毎月の小遣い
  • その他教育、自立した社会人として成長する為に必要な費用
  • 学習塾、特別講習などの受講料
  • 家庭教師を雇うための講師代
  • 進学のための予備校の授業料
  • 私立・公立広高校(大学)の受験料
  • 公立、私立を含めた学校等の授業料
  • テキスト、教材費
  • 部活動・学校のクラブ活動費 など

どのレベルの教育を受けさせるかによって必要な教育費が変わってきますが、養育費として請求できるのは、支払う者の学歴水準と同程度とされています。

弁護士に相談・依頼する

養育費の相場が分からなければ、弁護士に相談して試算してもらうこともできます、もし、協議中に相手が提示してきた養育費が明らかに少ない場合の対策や、適当かどうかの判断もできますので、一度無料相談を見て見ても良いかもしれませんね。

 

離婚時に養育費の請求をするための方法

養育費を請求する方法に決まった形はありませんが、おおよそ下記の3つの方法で行うのが一般的かと思います。

まずは協議離婚の話し合いによる請求をする

離婚する際に最初に行う協議離婚で、養育費の請求をしましょう。相場はすでにお伝えした通りですが、話あった内容を書面に残して置くことが重要です。あとで不払いが起きた場合でも対処できるように「離婚協議書の書き方と公正証書にして効力を最大にする方法」を参考に、公正証書に残しておくことをおすすめします。

養育費請求調停を申し立てる

協議離婚で養育費の話し合いができなかった場合、養育費請求調停を行う流れになります。請求の手順は以下の通りです。

1:家庭裁判所への申立て

まず「養育費請求調停の申立書」をご記入頂いて、相手方の住所地の家庭裁判所又は当事者が合意で定める家庭裁判所に提出をします。

2:調停期日を決定

家庭裁判所が調停の期日を決定し、申立人と相手方に調停期日呼出状が届きます。

3:第1回目の調停に出席

裁判官1名と調停委員2名が、申立人と相手方の話を聞きながら進めていきます。基本的には調停委員のみで調停を進めていくことがほとんどです。

4:第2回以降の調停

だいたい月1回のペースで開かれます。

5:調停終了

この時、終了には以下の3パターンが考えられます。

  1. 成立:調停は成立として終了
  2. 不成立:自動的に訴訟に入ります
  3. 取り下げ:取り下げ書を家庭裁判所へ提出した場合は終了

調停が不成立の場合は自動的に審判へ移行する

養育費請求調停でも話し合いがもとまらなかった場合は、自動的に審判に移行することになりますので、そのまま指示に従ってください。

 

離婚後に養育費の支払いが滞った場合

最後に、養育費の支払いが万が一滞った場合に、そのような対策が取れるのかを確認していきましょう。

養育費はいつまで支払いを受けられるのか?

養育費が必要とされる年齢は、18歳か20歳、大学院卒業までの22歳までが一般的です。子供がまだ幼い場合は、大学へ進学するかどうかは判断がつかず、22歳までの支払い期限とした場合でも、高校卒業とともに就職をした場合、養育費の支払いで後々トラブルになる可能性があります。

そういった場合は「養育費の支払いは18歳まで、だた、大学進学時は22歳までの期間延長に同意する」という文言を付け加えておくと良いかもしれません。

裁判所による支払い勧告をお願いする

養育費が支払われない場合、家庭裁判所から相手方に養育費の支払いをするよう勧告をしてもらったり,支払命令を出してもらうこともできます。(履行勧告・履行命令)

履行勧告には強制力がない

注意していただきたいのは、履行勧告には強制力がなく、実際に勧告をしても実行力に乏しいのが現実です。そのため,養育費の支払がなされない場合には,強制執行を検討した方が良いかと思います。

強制執行を行う

強制執行で相手方の給与債権を差し押さえることができますが、通常の強制執行で差し押さえられる給与債権は4分の1までですが、養育費の場合には子どもの生活にかかわるため2分の1までの差し押さえが認められています。

ただ、期限が来ていない将来の権利については強制執行の申立をすることはできませんので、養育費の支払が滞っている状況があれば、期限前でもその申立をすることができます。

 

養育費は減額されるケースもあることに注意

一度決めた養育費でも、事情の変更があった場合には増額の請求ができますが、それは減額の場合も同様です。例えばですが、子どもが大病を患って多額の医療費がかかった場合などや、権利者が再婚をして相手の扶養に入ったなどの事情があれば、養育費は減額の対象になります。

ただ、これらの事情があっ場合、養育費の増減が自動的に行われるわけではなく、自ら請求して行く必要がありますから、当事者同士で合意し,まとめていくのが一番良いですね。

ただ、話し合いがまとまらなければ裁判所に対して調停を申し立てる必要があります。その際には,法律の専門家である弁護士に相談することをおすすめします。

 

まとめ

以上になります。養育費の請求と増額の手順をご紹介してきましたが、今後の参考になれば幸いです。

 

 

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ABOUTこの記事を監修した法律事務所

2016年1月に寺垣弁護士、佐藤弁護士の2名により設立。現在の在籍弁護士は14名(2018年1月時点)。遺産相続、交通事故、離婚などの民事事件や刑事事件、企業法務まで幅広い分野を取り扱っている。